IQ185 天才女子の幸せ探し『マイ・プレシャス・リスト』【感想メモ】

Carrie Pilby
お読みいただく前に…

感想はネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。

目次

原題:Carrie Pilby

作品データ

  • ジャンル:青春コメディ
  • 主な舞台:NY
  • リリース:2016
  • 時間:1h 38m
  • キャスト:ベル・パウリー(キャリー)ネイサン・レイン(ペトロフ)
  • ディレクター:スーザン・ジョンソン
  • IMDb:6.7
  • rotten tomatoes:65%

イントロダクション

原作はカレン・リスナーの同名小説

14歳でハーバード入学、18歳で卒業。現在19歳のキャリーはIQが高くても、友達ゼロで仕事もない。人と関わるより読書に幸せを見出すキャリーの話し相手は、父の友人でもあるセラピストのペトロフだけ。そんなキャリーに、ペトロフは“喜びを見出すため”のやることリストを渡す。父が見つけた仕事をしぶしぶ始め、心ならずもリストに取り組むことにしたキャリーの予想外の冒険が始まる。

おちゃのま感想

わたしの先延ばしリストに入ってた『マイ・プレシャス・リスト』をようやく鑑賞。

内容はよくある成長物語なのだけど、キャリー役のベル・パウリーの演技が素晴らしくて、あの力強い目ヂカラに吸い込まれるように視聴しました。

本の世界に喜びや幸せを見出していたキャリーがセラピストの“リスト”に導かれるように現実世界に足を踏み入れ、リアルな感情を体験しながら一歩一歩進んでゆく物語は、どこか共感できるものがあります。キャリーの場合は本の世界だったわけですが、誰しも安全地帯から外の世界へ出てゆく瞬間があるはずで、そのタイミングは人それぞれ。楽しかった幼稚園を卒業した時がその時だと感じる人もいれば、親元や故郷を離れた時がその時だと感じる人もいると思います。キャリーの場合は19歳のいま。IQなど関係なく、自分の力で人生を切り開く時は必ずやってくる。セラピストに渡されたリストをやってみようと決めた瞬間が、キャリーのその時でした。

率直で雄弁、個性的なキャリーの魅力満載の物語は、喜びを見つけたキャリーの笑顔で締めくくられるのですが、心にうっすらモヤモヤが残ります。このモヤモヤの正体は、キャリー周辺の男性陣。そこがコメディ要素の見せ場だとしても、あの設定では男性不信を通り越し、人間不信になりそうです。

特に「こりゃあかん」と思ったのは、16歳の学生キャリーに手を出した教授でも、結婚前に浮気しておきたい男性でもなく、キャリーのパパです。教授も浮気男もキャリーの選択だけど、パパは違う。冒頭シーンで、パパに感謝祭をドタキャンされたキャリーがセラピスト相手に、父のことを「偽善者」と表現していたのは率直で的を射たものでした。

ひねくれ者のわたしは、手のかかる天才児を遠くの大学へ進学させた父親の本音を考えてしまうのです。娘のためとか、娘が望んだというのは建前で、どう対処すればよいのかわからない天才娘を体裁の良い方法で遠ざけたように思えます。しかも、事実上とはいえキャリー抜きで新しい家族を持つなんて。娘をたぶらかした教授にパンチをお見舞いしたとしても、そこはかとなく白々しい気持ちになってしまいました。

たくさんケチをつけてしまいましたが、キャリーが喜びや幸せを見出す物語は人生を豊かにするヒントを示す素敵なものでした。余談ではありますが、この映画に出会えたのは、『マイ・プレシャス・リスト』というタイトルに惹かれたからです。原題よりずっと良いと感じるのは、わたしだけでしょうか。

追記

キャリーの世界をもう少し深く堪能したくて、原作本を読みました。なるほど、これは読んで良かったです。わたしが違和感を感じたパパの件は映画のオリジナルでした。パパの過ちは、「話が合う人がいる」と(適当なことを)言い、子どものキャリーを大学へ行かせたこと。秘密の再婚相手もいないし、キャリーの住むNYを拠点にしたいというプランもあり、映画バージョンよりかなり好印象のパパでした。

映画と原作の違いは他にもあるのですが、原作を読んでより理解できたことは、キャリーという人の内面的なことでした。哲学を専攻したキャリーは常に正しさを求め、議論を切望し、そして意外にも好奇心旺盛。キャリーという女性に興味を持ったなら、小説もオススメです。

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